どうも、チート部長です。
今年も行ってきました、神田古本祭りもとい神保町ブックフェスティバル。
公式サイトを参照したところ、10月28(土)~29日(日)に行われているものが神保町ブックフェスティバルで、10月28(土)~11月3日(金)まで行われているものが神田古本祭りと称されているようです。
ブックフェスの方が今年で第31回で、古本祭りが第63回であることを鑑みるに、元々古本祭りが行われていて、1990年代辺りから古本祭りの中の特定の土日をブックフェスという新たな催しなどを加えて位置づけをしたというところでしょうか。
そんな催しですが、自分は29日と30日に参加してきました。(なので古本祭りとブックフェス両方行ったことにはなる。)
メインは大学の友人と一緒に朝から夕方まで30日に参加したのですが、28日と29日に開かれる特選古書即売店の方がどうしても気になったため、29日に軽く回ってきました。
【第63回東京名物神田古本まつり】●特選古書即売展●
— 神田古本まつり (@kanda_kosho) 2023年10月26日
【日時】10 月27 日(金)~ 29 日(日)10時~ 18時(最終日〜17時)【会場】東京古書会館・地下ホール
神保町の古書店有志による展示即売会。古典籍から肉筆資料、近代初版本まで、ふだん目にする機会の少ない、内外の貴重書籍を集めたイベントです。 pic.twitter.com/hbQvN09su8
前置きはこれくらいに。
これから購入した書籍(戦利品)について簡単ではありますがまとめていこうと思います。
まずは、一覧で。
以下より、個別に参照と言及します。
- 柳田國男『日本の祭』(弘文堂書房,1942)
- 福沢諭吉/黒田行次郎(黒田麹廬)『増補和解西洋事情』上中下三冊揃い(1868)
- 『ギリシア悲劇集 アイスキュロス・ソポクレス』呉茂一・高津春繁・久保正彰訳(フランクリンライブラリー,1988)
- 日本エッセイスト・クラブ『エッセイの書き方』(岩波書店,1999)
- ロジェ・サルチェ『書物から読書へ』水林章・泉利明・露崎俊和訳(みすず書房,1992)
- アンドルー・ラング『書斎』生田耕作訳(白水社,1996)
- トム・カークウッド『生命の持ち時間は決まっているのか?〔使い捨ての体〕老化理論が開く希望の地平』小沢元彦訳(みすず書房,2002)
- ヴァーツヤーヤナ『完訳 カーマ・スートラ』岩本裕訳 中野美代子解説(平凡社,1998)
- まとめ
柳田國男『日本の祭』(弘文堂書房,1942)
まずは29日、特選古書即売展で買った二冊を紹介します。
先ほどツイートにあったように特選古書即売会では古典籍から肉筆資料、近代初版本まで、ふだん目にする機会の少ない、内外の貴重書籍を見て、購入することができます。
私が買った二冊もなかなか目にかかれない代物でした。
まず一つ目がこの柳田國男の本です。
何がすごいってこれですよ、これ。
初版本、昭和17年(1942年)の本です。
右上に出版された年が記名されていますが、珍しくその下に括弧書きで5000部、という出版部数も書いてありますね。
5000部限定の初版本ってどうなんでしょう、レアですかね。
有名な『遠野物語』はもちろんのこと、その他『雪国の春』なども読んでおり、柳田國男にはもともと興味を持っていたので「これは買いだ」と思い購入しました。
昔の本特有の著者検印も趣深いですね。
内容としては1941年に東大教養学部で行われた講義がまとめられているようです。
日本の祭ということで柳田の神への考え方が色濃く出ているとかなんとか。
柳田の弟子である折口信夫の「まれびと」という神の考え方に関する書籍も以前かじったことがあるので、折口の神の考え方とどのような点で異なるのかといった視点も持ちつつ読んでみたいと考えています。
福沢諭吉/黒田行次郎(黒田麹廬)『増補和解西洋事情』上中下三冊揃い(1868)
まごうこと無き古書。
1868年ということでちょうど江戸の終わり(慶応4年)と明治(明治元年)にあたる年に出版された本になります。
今から155年前の本です。(改めてすごさを感じる。)
『西洋事情』と言えば元々福沢諭吉が慶応2年に出しており、続いてこの本が出たということで一悶着あった本でもあります。
黒田行次郎という学者は福沢の『西洋事情』という名著をより多くの人の手が届くようなものにするために、校正役を請け負って「増補和解」という形でこの本を出版しました。
ただし、福沢がこれを知ると厳しく批判し裁判を持ち掛けることになりました。
出版権という意識が希薄だった江戸から、権利意識が芽生える明治期の過渡期の有様がありありと見て取れるエピソードだと思います。
そんな一種の曰く付きのエピソードと遥か昔の古書を手元に置けるというロマンに惹かれてしまい、購入しました。
写真を見て分かる通り、状態としてはやや悪いもの(上が際立って悪く、その他の二冊は一般的な古書の痛み程度)にはなりますが、そのおかげもあってか比較的安価な値段で売っていました。
ネットで調べると状態の良いものだと13000円くらいで売られていたので、ある意味この破れや染みに救われて購入することができた形になります笑。
中身はこんな感じ。
いざ、読もうとするとなかなか読み応えがありそうです()。
ただ、これでも福沢の原著に加えて読みにくい感じや分かりやすいように黒田が註を付けてくれているのでその点においては少しは読みやすくなっているものではあるらしいのですが・・・・・・。
歯が立たなかったら現代語訳の方も買って、照らし合わせながら読むスタンスにしようと思います笑。
老後の楽しみにでもとっておきますか。
参考文献
「デジタルで読む福沢諭吉 西洋事情. 初編. 一」慶応義塾メディアセンター(https://dcollections.lib.keio.ac.jp/ja/fukuzawa ,2023年10月30日最終閲覧)
『ギリシア悲劇集 アイスキュロス・ソポクレス』呉茂一・高津春繁・久保正彰訳(フランクリンライブラリー,1988)
装丁がかっこよすぎる、まるで魔導書(グリモワール)」のよう。
フランクリンライブラリーというアンティーク調の装丁に凝った本で特徴のある出版社から出された本です。
古典的名著を拘った装丁で出版することを目的として様々な本が出版されているようですが、売り場には自分が購入した「ギリシア悲劇集」以外にトルストイの「アンナ・カレーニナ」やエミリー・ブロンテの『嵐が丘』などが置いてありました。
『アンナ・カレーニナ』と迷いましたが、前々からギリシア時代の劇が気になっていたことと『アンナ・カレーニナ』が一つでなかなかの文量があることからこちらの本を手に取ることにしました。
ギリシアの三大悲劇詩人はアイスキュロス、エウリピデス、ソフォクレスですがこのうちソフォクレス以外の二者の作品にこの本で触れることができます。
面白かったらソフォクレスの方も別の本で買うかもしれません。
日本エッセイスト・クラブ『エッセイの書き方』(岩波書店,1999)
今までに谷崎、丸谷の『文章読本』や『あなたの小説にはたくらみがない』などの文章論は読んだことがありますが、エッセイをテーマにしたものは初めて見かけたため、購入しました。
今こうやってブログを書いていますが自分の文章力はまだまだ未熟なので、こういった本に触れつつ、自分で文を書き綴って文章力に磨きをかけたいなと思います。
ロジェ・サルチェ『書物から読書へ』水林章・泉利明・露崎俊和訳(みすず書房,1992)
社会学、文学史、歴史学など各々異なった分野を研究する学者たちが南フランスにあるある修道院で一堂に会し、「読書」という営みの在り方について議論した内容が知りされた対話編。
目次を見るに読書という一つのテーマについて多角的な視点から論じられている本に見受けられたため、購入しました。
アンドルー・ラング『書斎』生田耕作訳(白水社,1996)
先ほどの本が読書という本に書かれている文字を読むことについて考察した本であるとすれば、こちらの本は本の諸要素、本そのものについて論じたもの、所謂「書籍学(ビブリオグラフィ)」について書かれた本になります。
今まで装丁などについて一応言及はしてきましたが、では実際に凝らされた本の装丁や紙質などはどのようなものか?と聞かれると明瞭に自分の中で答えを持てていないため、この本を通して何かしら検地を持ちたいと考えました。
書籍学の古典的名著と謳われているようなので読むのが楽しみです。
トム・カークウッド『生命の持ち時間は決まっているのか?〔使い捨ての体〕老化理論が開く希望の地平』小沢元彦訳(みすず書房,2002)
終盤に手に取った本。
科学と人類学の見地から、人間の老いについて論じられたもの。
2002年の本なので科学的な分析はもう今では比べ物にならないくらいにデータなどに差が開いている可能性はありますが、老化や死とどう向き合うかなどを学問的見地から考えるという内容に惹かれたため、購入しました。
直近で身体を壊すこともあったので人の身体って人生においてどんなものなのだろうと思いまして。
ヴァーツヤーヤナ『完訳 カーマ・スートラ』岩本裕訳 中野美代子解説(平凡社,1998)
こちらは正確に言うと神田古本祭りで購入した本ではないのですが、今月家の最寄り駅で開かれていた古本市で購入する機会があったので、今回のブログにて合わせて紹介します。
何故唐突に、インドの経典を?と思う方もいらっしゃると思うのですが、『ブルーアーカイブ』というソシャゲでこの本の存在を知ったことがきっかけとなっています。
このピンク髪の少女、浦和ハナコの愛読書とされているのが他なる『カーマスートラ』だったのです。
一見このメモリアルロビーの画像を見ると気品にあふれた美少女にも思えますが、『カーマスートラ』を愛読書に挙げていることからも分かるように性的なセリフを一度口にすると止めどなく発してしまうような、そんなキャラです。
そんなこんなでこのハナコというキャラを通して『カーマスートラ』自体に興味は持っていました。
ただ、わざわざネットで購入するほどかと言われるとそれほどまでではなく、ネットの相場も状態問わず安くても3000円以上なため、買うには至っていませんでした。
そのような最中に古本市へ足を運んだところ、一冊あるのが目に留まったのです。
昨今は何をするにもネットが便利で、買い物においてもネットショッピングは便利ですが、それでもやはり生での書籍との出会いは代えがたいものがあります。
はやる気持ちを抑えて目の前にある『カーマスートラ』の状態と値段を確認、そして、ネットの情報と比較検討を行いました。
写真を見て伝わるとよいのですが、かなり状態はいいです。
値段も先ほど挙げたネットの最安値よりも1000円下回っていたので、これは一期一会の出会いということで購入しました。
安直なオタクなのでこうやって作品に関連するものがあると安易に手を出します(『艦これ』をきっかけに軍艦、歴史にハマったり、『ヒカルの碁』をきっかけに碁を学んだり)
内容としては性技など性的なものもありますが、それ以外にも人としての教養や異性との関わり方、恋愛のノウハウなども書いてあるようです。
大学生になって少しはマシにはなりましたが、相変わらず根は陰キャコミュ障だと思うので、より良いコミュニケーション術など知ることができれば一石二鳥になるかもしれません笑。
まとめ
以上になります、いかがだったでしょうか。
コロナ明けの2021年から行き始めたのでこれで三回目になります。(もしかしたら来年の就職の配属先次第では暫く参加できなくなるかも・・・・・・)
こうやって購入した書籍をまとめてみると思いの外哲学系の書籍を今回購入していない自分に驚きを感じています。
前は筑摩書房のプラトン全集二巻分やショーペンハウアーの『意思と表象としての世界』など哲学系の本を多く買っていた印象があったので。
思えば今回、道端に陳列されている書籍に関して言えば哲学書はそこまで見かけませんでした。
異様にヘーゲルが多くありましたがそれ以外はまばらにあるといった感じで。
恐らく一番よく見かけたのは三島由紀夫関連の書籍ですね。
今回、初めて特選古書即売展に行ったのですがなかなか見物でした。
何十万する書籍や作家の肉筆の手紙などが置いてあり、記念館に合ってもよさそうな代物が、(ビニール越しだとしても)、手元に触れられる状態で置いてあるのは衝撃的です。
何か買わなくてもいい、古本祭りに来たのであれば一緒に足を運んでほしいイチオシの場所でした。
今年の古本祭りもいい本と出会えることができました、既に手元に多くの積読がありますが、少しずつ読み進めていこうと思います。
余裕があれば何かしら読んだ本について、素人ながらで恐縮ではありますが感想、書評みたいなものも書いてみたいです。
それでは今回はここまで、読んで下さった方ありがとうございました。